世界最大級の原生的なブナ林で有名な白神山地に奥羽山脈。
そこから想起されるように、「きれいな水」「豊かな木材」を有するのが秋田県である。
その南部に位置する川連 (かわつら) もまた、それらを生かした伝統工芸が残る。
有名なのは川連漆器。
漆器の中でも丈夫さが特徴であるが、一旦を担っているのが下地を塗る「木地」である。
その木地をつくる職人がつくりはじめたと言われるのが「川連こけし」だ。
宮城や山形など東北地方ではいくつかこけしの産地がある。
しかし他の産地は頭と胴をそれぞれ挽きはめ込む形で作る一方、川連こけしは頭も胴も一本の木を削って、こけしを作る。
そのため力が必要な作業も多いが、阿部さんはこけしづくり自体は「難しい技術ではない」という。
だからこそ「作品に職人の生き方など、本質的な部分が反映されてしまう」のだそうだ。
「できたものがすべて。昔の人が残したものから何かを感じるように、人に感じさせるものを残していく、それだけです。」