愛媛県喜多郡内子町に宮部木履工場という工房がある。
愛媛県内で唯一残る、桐下駄を製作する工房である。
お客様の足にあわせて、鼻緒と下駄台を組み合わせ、一足一足、職人が仕上げる桐下駄。
その昔、下駄は日用品であり、最盛期には愛媛県内だけでも20軒もの工房があったという。工房を父親から引き継いだ宮部真喜男さんは「腕に仕込んだものは他人には取られない」「残ったものが最期に勝つぞ、笑うぞ」と語る。
伝統は守るものではなく、作っていくもの。そして、何年もかけて答えが出るもの。伝統は、その過程で生まれてくると思っている。
そう語る宮部さんが作る桐下駄は伝統工芸品となり現代に受継がれている。