古来より北海道に住む人々は「アイヌ」と呼ばれる。
アイヌの人々が持つのは厳しいながらも自然の豊かな土地で育まれた独自の信仰・文化。
その中で生まれたのが、単なる伝統ではなくアイヌの生活に根付いた工芸「二風谷 (にぶたに) アットゥシ」である。
「アットゥシ」はアイヌ語で樹木から作られた反物、ならびに着物のことを指す。
原料はアイヌ語で「アッ」。
オヒョウという樹木の皮である。
その皮を剥ぐところから、煮るなどの過程を経て柔らかくし、糸を紡いで織って、着物として仕立てる。
藤谷さんは物心ついたころから、アットゥシを作る文化が身近にあったという。
時期になると男女関係なく山に入り木を剥ぎ、子供もそれを引きずって運ぶ役目を担う。
そうやってどの家庭にも浸透していたそうだ。
「たまたま身近にあったから仕事になった。恵まれていた。
100年以上続く伝統の根幹は、身近なものを大切にした結果なのだと思います。」