北東北地方の夏に吹く北東の風を「やませ」と呼ぶ。
このやませは農作物に被害を与えることもあれば、恵みを与えることもある。
その恵みの一つが、南部箒の素材である「ホウキモロコシ」だ。
やませを浴びて育ったホウキモロコシの先端は縮れた形で育つ。
この形状こそが、南部箒の特長なのだ。
縮れた穂先は掃除機をかけたあとの絨毯からでも、埃を絡み取れるほどの性能を持つ。
厳しい冬が訪れる南部地方。
その農閑期の手仕事として、受け継がれてきた南部箒の作成。
その仕事を受け継ぐ高倉さんは驕らない。
「常に新しいものを考えていかないと商売はできないし、お客さんもできない」
そんな意思を持ちながら箒を作り続ける。