讃岐うどんで有名な香川県。
面積が日本で一番小さな県には、鎌倉時代から伝わっていると言われている伝統がある。
それが「組手(くで)障子」である。
和風建築では欠かすことのできない建具である障子。
縦と横の線で組み合わされた木枠で構成される一般的な障子をはじめとして、縦と横の他に斜めの線も追加した「三つ組手」という技法で作られた地組みの中に
「葉」を入れて独自の複雑な幾何学模様を作り上げていく組子細工が施されたものまで、様々なデザインの障子がある。
それら全てを含めて、香川では「組手(くで)障子」と呼んでいる。0.1mmの誤差があっても組み立てられなくなる繊細な技術を習得するには、長い年月を要する。
「良さを後世に遺していく。絆いでいく方法が伝統」と語るのは大井建具店の大井淳一さん。
和室が減り、エアコンが普及し、障子のある家庭が減りつつある現代にあっても、大井さんは「いずれ日本の障子や畳、襖などの良さは見直されると信じている」と語る。