涙を流して喜んでくれるお客様がいる。
本当に喜んでくださるものにし続けること。
それが継続的にできること。
それが職人の姿。
若手の肥後象嵌作家である稲田憲太郎さんは、職人像についてこのように語る。
戦国時代末期、加藤清正が現在の熊本にやってきた時、ともにその地を踏んだ鉄砲鍛冶の林又七が肥後象嵌の元祖と言われている。その後、領主が加藤家から細川家に変わっても林家はこの地に残り、発展させてきた。
技術だけで後世に伝統を受け継ぐことができない。その技術を支える道具や、環境にまで配慮してこそ、未来に技術を受け渡すことができるとも、稲田さんは語る。