PRO-DITIONAL NIPPON

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みちゆき

03:職人取材

職人取材

たった一人で47都道府県を巡り、地域固有の伝統や文化の撮影・記録を続ける溝井誠さん。今回は、溝井さんをサポートする「PRO-DITIONAL NIPPON」チームが、伝統工芸の工房を訪ねる溝井さんに同行。後世のため、伝統文化を美しい映像に収めようと奮闘する溝井さんの取材・撮影の様子をレポートします。

いざ、江戸切子、新進気鋭・硝子作家の工房へ

いざ、江戸切子、新進気鋭・硝子作家の工房へ

取材先の工房がある東京・亀戸に、小さなワゴン車であらわれた溝井さん。その中は、撮影機材と日常品で半分はうまっていますが、きちんと整理されて、乗り心地はよさそう。
「この中に泊まることもあるので、しっかり寝床を確保できるようにしています」と、溝井さん。愛用の「XDCAMメモリーカムコーダー PXW-FS5K」(以下、FS5)を背負って、亀戸にある江戸切子の工房「根本硝子工芸」を訪ねます。
迎えてくれたのは、硝子作家の根本幹大さん。根本さんは28歳と、これまで登場した伝統工芸士の中では最年少。根本硝子工芸の三代目として、二代目と共に日々、伝統の世界と向き合っているのだそう。
20畳くらいの広さの工房の中には、“わく”と呼ばれる硝子を削る機械が9台並び、削る前の硝子のグラスや器が入ったケースが積まれています。

流れるような手業。職人技のすごさを実感

流れるような手業。職人技のすごさを実感

「結構広々しているので、今回は撮影しやすそうですね」と言いながら、溝井さんは手早く撮影の準備を進めます。これまで撮影した中には、“暗い、狭い、熱い”といった工房や作業所も。だからこそ、コンパクトで軽量なうえに、高温多湿な場所でも美しく撮れるFS5は頼もしかったとのこと。
いよいよ撮影がスタート。なるべく工芸の全工程を撮影するのが、溝井さんのこだわり。ということで、江戸切子でまず行われる、割り付けという工程から撮影していきます。分割機という台にのせて、削りの下書きとなる“あたり”の線を硝子に描く根本さん、さりげなくやっていますが……。
「これ、めちゃくちゃ難しいんじゃないですか?」と撮影しながら、根本さんに聞く溝井さん。すると、「そうなんです。最初の頃は、ひたすら割り付けの練習ばかりしてました」とのこと。
「流れるような、さりげない手の動きですよね。職人さんたちって、すっごく難しいことをやっているのに、そう見せないんです。そこがカッコいい」と、溝井さん。取材を重ねるたびに、こうした職人さんたちのすごさを実感するのだそう。

硝子のプロVS映像のプロ、火花散る真剣勝負

硝子のプロVS映像のプロ、火花散る真剣勝負

次はいよいよ削り。“わく”に付いたダイヤモンドホイールを回転させ、硝子をあてる根本さん。文様の大きさや繊細さに合わせて、ホイールを変えながら、硝子を削っていきます。硝子をホイールにあてる力加減、微妙な手首の動き。溝井さんが言うように、根本さんの手の動きはさりげないのに、硝子には美しく繊細な文様がくっきりと刻まれていきます。
当初は、三脚にFS5を載せて撮影していた溝井さんですが、工程が細かくなるにつれ、FS5を手持ちにして、根本さんの手元にぐっと近づいて撮影。FS5には、解像度の落ちないデジタルズーム「超解像ズーム」が搭載されているので、画像を劣化させることなく、拡大して撮影することができます。
根本さんの技、硝子の文様と輝きを逃すまいと、真剣なまなざしで撮影する溝井さん。さながら工房は、硝子のプロVS映像のプロの、火花散る真剣勝負の場に。
ラストは、インタビュー撮影。根本さんの江戸切子への思い、伝統文化への思いを聞き、取材・撮影は終了。工程を撮影するときは緊張感が漂いましたが、合間は伝統文化談義で話が弾み、終始なごやか。取材する側、される側の立場をこえたプロフェッショナル同士の共鳴に、私たち「PRO-DITIONAL NIPPON」チームも大いに刺激を受けたのでした。

職人取材

職人取材

FS5で、繊細な職人技、美しい伝統工芸を記録し続ける溝井さん。美しい映像で切り撮る色とりどりの伝統のセカイ、これからもご期待ください!

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