伊勢亀山藩の城下町として、東海道で鈴鹿峠越えを控えた亀山宿の宿場町として栄えた三重県亀山市。とくに関町は、当時の面影を色濃く残した、歴史情緒が感じられる町並みとなっている。
その関町に店をかまえるのが、「桶重」である。
明治15年創業の桶重を預かる服部さんは、自分の仕事は単なる工芸品づくりではないと語る。伝統工芸とよばれるけれど、行っているのは商売。世の中から求められなくなったら、消えてしまう運命にある。「もったいないとか、そういうことではない」、と。
丈夫で、長持ちして、見栄えもいい。江戸の風情を色濃く残す東海道五十三次の47番目の宿場町にある工房で、今日も服部さんは桶を作り続ける。