岡山県の北中部に位置し、鳥取県と接する真庭市。この真庭市勝山地域(旧真庭郡勝山町)で作り上げられる硯が高田硯である。
名瀑「神庭(かんば)の滝」近くの山中で採れる高田石を原材料にする。しかし、かといって、この石を利用した硯が全て高田硯になるわけではないのだ。
彫刻はのみを用い、手作業とすること。研磨はと石等を用い、手作業とすること。黒漆で仕上げをすること。
この技術や技法で生み出され、はじめて高田硯となる。
「硯は道具である。芸術品ではない。縁の下の力持ち。良い字がかけるように道具を作るだけ」。中島硯店の門脇健夫さんは、今日も父親から受け継いだ手仕事で硯を仕上げていく。