佐賀県唐津市。
玄界灘を望む九州の城下町には住民のみなから愛されている伝統的な祭りがある。
唐津くんち。
「供日」と書き“くんち”と読むお祭りは、唐津神社の秋季例大祭。街をあげて五穀豊穣を神様に感謝するお祭りは、11月2日の宵ヤマに始まり、3日間に渡って開催される。
数多くある祭りの見どころの中でも、とくに山場といえば、唐津の町を練り歩く巨大な曳山である。
木組みに粘土で型を作り、その上に和紙を1~2cmの厚さまで百~二百枚近くを(蕨糊・柿渋とで)張り重ね、型を抜き、竜骨を組み、麻布と漆で固めて下地を造り粉屎漆で形状を整え最後に色漆を塗り金箔で仕上げて作成される曳山。
本体は心柱1本の上に乗ったつくりとなっている(亀と船型は2本)。
この巨大な曳山の制作には、3から6年もの時間を要したと伝えられている。
世界最大級の乾漆の美術工芸品が祭りに色を添える唐津くんち。
この伝統は、また、翌年の11月2日に引き継がれていく。