東京の北に位置する埼玉県。
都心ではたらく人のベッドタウンとして人気の県には、知られざる秘密がいくつもある。
そのひとつに“県土に占める河川面積の割合”が全国1位というのがある。
荒川と利根川。関東を代表する河川により、埼玉県の歴史と文化は育まれてきたのである。
その荒川の上流域にあるのが富岡鬼瓦工房のある比企郡小川町だ。
外秩父の山に囲まれた小川盆地に町の中心部があり、江戸の昔からその地勢から「武蔵の小京都」の異名を持ち、江戸の昔から様々な産業が生まれてきた。
今回取り上げる「鬼瓦」も、そのひとつだ。
瓦に適した粘土が採れるという土地柄、瓦づくりが盛んであったが、現在、埼玉県で鬼瓦を作成している工房は2軒だけだという。
「先人が積み重ねてきた技術を伝統として後世に伝えることが重要。」
富岡鬼瓦工房の富岡さんはそう語る。