2007年世界遺産に登録された石見銀山。“石”を“見る”と書いて「いわみ」と読む、旧石見国一帯で作られている陶器の総称が石見焼。大型の水瓶(「はんどう」と呼ばれる)が代表的な陶器。上水道が普及する以前、はんどうは水道代わりの水瓶として全国各地で人気を博していた。その当時、100軒を越える窯が存在していた。
上水道の普及に合わせて、はんどうの需要が激減し、一気に窯元が減ってしまった。が、耐酸・耐塩・耐水に誇れる陶器ということで漬物や、梅干し、味噌の貯蔵容器としては人気に。
しかし、大物(大きい焼き物)こそが、石見焼の真骨頂だと語るのが、石州嶋田窯の嶋田孝之さん。
「45年やってるけど、まだ一人前じゃない」と語るのも嶋田さん。自分で考え仕事を作り出すのが職人。使ってもらって喜んでもらえるものが作れてこそ職人。自分の満足したものだけを作っていたってだめなんだと。「お客さんに喜んでもらえるものを作っていかないと」とも、語る嶋田さん。生涯一人前を目指すその気概が、嶋田さんの作る石見焼には込められている。