日本の伝統的な武道の中でも、特に所作が重視される弓道。
その弓道において一番尊ばれる価値観がある。
それは「真善美」といい、競技者の技術だけではなく、内面も磨かれた上での調和を「美しい」という価値観である。
この精神は過去から現在に至るまで継承されており、それ故に弓道愛好家が使う道具、弓道具は競技のための実用性を備えながら、本質的な美が価値とされる。
そんな弓道具のひとつが「和弓用矢 (わきゅうようや)」だ。
150年以上の歴史を持ちながらも「現役の工芸」として未だ求められる和弓用矢は、やはり、本質を求める職人によって作られる。
「口は空虚なものでしかない。いくら真実味があってもその証となるものがなければ、何にもならない。」
「口よりも、手の方が先に来るものだ。」
そう語る堀江さんの手だからこそ、職人の誇りと共に、美しい矢ができあがるのだ。