江戸時代後期の天保5年、日本橋の加賀谷久兵衛が発祥といわれる「江戸切子」。
「切子」とはカットガラスのことであるが、日本で「切子」というと江戸切子の他にも薩摩切子がある。
大きな違いはガラスの色がある「被せ (きせ)」部分の厚み。
被せ部分に厚みのある薩摩切子はグラデーションを中心としたデザインの一方、江戸切子は被せ部分が薄く、カット部分が際立つメリハリのある印象をみせる。
その江戸切子のカットは数十種類の伝統的な文様が中心となっており、文様を正確に再現できること、それが職人としての基礎となる。
そして、文様を精巧に組み合わせた上に独自のオリジナリティを加え、それが「作品の価値」となる。江戸切子の職人は、職人であると同時に作品を生み出す「作家」なのだ。
「その人の人柄があってこそ、その人の作品ができあがる。」
根本硝子工芸3代目となる根本幹大さんは、今日も工房でなにか新しい江戸切子を作り続ける。