鳥取県東部、旧因幡国に伝わる因州和紙。その誕生は1000年以上昔にまでさかのぼる。
明治以降、因州和紙の産地にも、欧州から洋紙の生産方法が伝わり、生産性の向上がはかられ、多様な和紙が生み出されるように。そして、1975年、因州和紙は和紙として初めて「伝統的工芸品」に認定されるまでに。
2013年には「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」が世界無形文化遺産に認定され、脚光を浴びている和紙。一般的には“光を浴びている”ように思える世界であるが、「光を浴びるのが遅すぎた」と、長谷川憲人製紙の長谷川憲人さんは語る。
和紙を漉く職人が減れば仕事が増えるのではない。職人が減ると、職人が使う道具を作る職人も減ってしまう。いくら技術があっても、それを生み出す道具がなければ、意味がなくなってしまう。
しかし、1000年以上続く因州和紙を次世代に残そうと、職人の心意気と、その気概を伝えたいと長谷川憲人さんは語る。そんな長谷川さんのもとでは、次世代の因州和紙職人を目指して長谷川さんの後継者が日々、技を磨いている。